暇乞い | itoma-goi *

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毎日はあっという間でちょっと悲しい : )

映画『籠の中の乙女』見ました。

『籠の中の乙女』予告編

『ロブスター』という映画でヨルゴス・ランティモス監督を知ってから他作品も見てみたいと思っていて、ようやく見ることができました。この監督さん、好きですわー。

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籠の中の乙女』のあらすじ

ギリシャの郊外にある裕福な家庭。だが、一見普通にみえるこの家には秘密があった。外の世界の汚らわしい影響から守るために、両親が子どもたちをずっと家の中だけで育ててきたのだ。 邸宅の四方に高い生垣をめぐらせ、「外の世界は恐ろしいところ」と信じ込ませるために作られた“厳格で奇妙なルール”の数々。彼らの生活は、まったく普通のものではなかったが、子どもたちは純粋培養の中すくすくと成長し、幸せで平穏な日々が続いていくかのように思われた。 しかし、ある日父親が年頃の長男のために、外の世界からクリスティーナを連れてくる。彼女の出現によって、子どもたちの心には様々な変化が起き始めるのだった…。

© 2012 籠の中の乙女 / AYA PRO Inc.

籠の中の乙女』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

知らぬは仏?

ランティモス監督作品はロブスターしか見た事がありませんが、ロブスターよりも更に奇っ怪で癖の強い映画でした。

設定が超絶歪んでいるため登場人物も全てアンバランスな違和感があるようなキャラクターが多く、その枠組みの中で描かれた『普通の毎日』を美味しいと感じるかまずいと感じるかは見る人次第ですみたいな感じの映画です。これは本当に人を選ぶ映画だと思います。

 

一言で表すとブラックユーモアのあるカルトファミリーのドラマとでも言いましょうか。子育ては宗教であり洗脳なんだと改めて感じました。

「ママ、庭でゾンビを見つけたよ。摘んでいこうか?」

これだけ聞くとなんのこっちゃわからんですが、花をゾンビとして教えていれば『ゾンビ』も普段の毎日に頻繁に登場する言葉になります。そんな言葉遊びがすごく面白かったり、他にも奇っ怪な設定が多数盛り込まれていて、個人的には大ヒットでした。

 

最後は、外の世界に興味を持った長女が脱走を試みるのですが、試みる場面でエンドロールが流れます。もはや笑ってしまうくらい「終わりなの!?」という感じでバッサリ(笑) 

 

もし私がこのお話の演出をするなら、実はこの一家は本当の一家ではなくて家族が欲しいサイコパスな男と自分を持たない心の弱い女が子供をさらって疑似家族を作ってるなんていう設定を盛り込みたいですが(クリミナル・マインドであった気もしますがw)、きっとそれをやってしまうとこの映画の本当の良さは消えてしまうのかもしれません。何もないからこその『異常』で、安全に見るための理由は見つからない方がこの映画は良いんだろうと思います。

 

BGMもないですし設定は異常ですし性描写も多々ありますが、私は好きでした。映画としてのクオリティはロブスターの方が高いと思いますし、だからこそそれ以後の『女王陛下のお気に入り』なども更に見たくなりました。

 

籠の中の乙女』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ましたがPPV作品です。他にもU-NEXT、TSUTAYA TVなどでも見れるみたいです。U-NEXTは見放題作品に含まれているようなんで、まだ試した事がない方はU-NEXTがおすすめです。(TSUTAYA TVAmazon同様PPV。)

U-NEXTTTV

籠の中の乙女 (字幕版)
 

 

映画『ゲット・アウト』見ました。

「ゲット・アウト」予告編

Amazon Primeで高評価レビューが多く、予告編もすごくクオリティが高そうだったので気になり早速視聴してみました。一応ジャンルはホラーとなっていますが、どちらかというとサスペンス色の強いヒューマンドラマという感じです。

 

ゲット・アウト』のあらすじ

主人公であるアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、恋人のローズと一緒に彼女の実家を訪れる事になる。白人であるローズの実家を訪ねる事に不安はあったが、手厚く歓迎してくれて、打ち解ける事はなくても嫌な思いなどはする事もなく、恋人の両親やその街の人達と楽しく話し、写真を撮って過ごしていた。

街にはほとんど白人しかいなかったが、使用人や管理人に黒人の住人がいる事を発見する。彼らも街に馴染んでいるようだったが、クリスはどこか妙な違和感を感じるのだった。

そしてその夜、タバコを吸い終え庭から戻ったところを彼女の母親に呼び止められ…。

 

ゲット・アウト』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

『差別』を綺麗に飾って現した名作

Amazonのレビューで高評価だったのは間違いではありませんでした。これは面白いです。これが見放題で見られるAmazon Primeすばらしい!(笑)

まず前提として白人と黒人の人種差別がテーマになっています。しかし、ただ差別するのではなく、黒人に憧れる白人が手術によって黒人の体を乗っ取るという空恐ろしい事件を通して差別を描いていました。怖いというよりは不気味な映画という印象で、『ヴィレッジ』や『ロブスター』などの異色ホラー系が好きな人はきっと気に入ると思います。

人種差別にはほとんど縁のない日本人の私でも十分楽しめましたが、きっとアメリカや他国の方だとまた違った感覚を味わえるんだと思います。差別に関してここでは多く書きませんが、きっと日常茶飯事にそれは起こっていて、影の部分が多いからこそ美しい友情や絆が光るお話が多いのかもしれません。

また、黒人独特の話し方や挨拶なども多く盛り込んでいそうだったので、英語はわかりませんが、おそらく体を乗っ取られた使用人や管理人が本来の自分と乗っ取った白人のキャラクターの演じ分けなどもしてたんじゃないかと思われます。

ジョーダン・ピール

この作品の監督をされているのは、俳優でコメディアンでもあるジョーダン・ピールという方。初めて聞いた名前でしたが、非常に興味を惹かれて色々調べてみたところ2019年公開の『アス』という作品も面白そうでした。


『アス』予告編90秒

不気味さ満点(笑) こういった雰囲気を作るのに非常に長けているんだと思います。そしてきっと面白いので、機会があれば見てみたい!

 

ゲット・アウト』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。見放題はおそらくAmazonだけでそれ以外だとレンタルになるようです。Amazon以外でも初回登録時の無料ポイントを使えば無料で見ることもできるんでおすすめです!

dTVTTVビデオパス

ゲット・アウト(字幕版)
 

 

映画『パーフェクト・トラップ』見ました。

『パーフェクト・トラップ』予告編

『ソウ』の4~7の脚本を担当されたマーカス・ダンスタンの監督作品。ソリッド・シチュエーション・スリラーは大好物なのでいつか見たいと思ってたんですが、Amazonで見放題になっていたので視聴してみました。

 

『パーフェクト・トラップ』のあらすじ

エレナは友人のミッシーに誘われてシークレットクラブに遊びに行く。エレナは館内で偶然赤い箱に閉じ込められたアーキンを発見する。

同時に大ホールでは犯人の仕掛けたトラップによって、フロアで踊る多くの人が惨殺されてしまう。エレナはフロアに戻りその異様な光景を目の当たりにし、アーキンと共にその場から逃げようとするが逃げ遅れエレナだけ捕まってしまう。

その後エレナの父親が依頼したチーム+アーキンで再びパーフェクトなトラップが仕掛けられたクラブへと捜索に向かうのだった。

 

『パーフェクト・トラップ』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

『ソウ』のスピンオフ的な雰囲気

『ソウ』の4~7の後半部分の脚本を担当された方が監督しているソリッド・シチュエーション・スリラーという事で結構期待に胸を膨らませてみてみました。

悪くはないです!悪くはないのですが…うーん。

前半のトラップの演出や展開はかなり良くてこれは面白そうと引きつけられはしたものの、後半はトラップというよりはアクションムービーになってしまっていて、ソリッド・シチュエーションなスリルが薄れてしまっているように感じられました。

見る人によって印象は異なると思いますが、スプラッター映画としての迫力もソウには及ばず、それなりの制作費をかけて作ったスピンオフ的な雰囲気のある映画だったように思えます。

ただ、この『パーフェクト・トラップ』、実は『ワナオトコ』という映画の続編だったらしく(知りませんでした)、ワナオトコの方はパーフェクト・トラップよりも評判が良いようです。

ジョシュ・スチュワート!

個人的にびっくりしたのがジョシュ・スチュワートさんが出演されていた事。有名な俳優さんではないと思いますが、クリミナル・マインドでJJの旦那さん役を演じられていて、かなり素敵な雰囲気のある(気だるそうなw)俳優で大好きです。そんなジョシュ・スチュワートが本作では箱に閉じ込められていたアーキン役で出演されていました。

相変わらず悩みを多く抱えていそうな表情ではまり役ではあったのですが、ジョシュはやはりできる男を演じさせた方が格好良さが映える気がします。頼りない雰囲気だからこその頼りがいが魅力的な気がするので、もうちょっとヒーローっぽいキャラにしてあげてもよかったかも(ミーハー心)。

そんなジョシュ&A.J.クックのクリミナル・マインドも15でラストという事ですが、どうやら今年『Back Fork』で夫婦役で共演されているようです。映画が面白いのかはわかりませんが、ウィル&JJ好きとしてはとても興味を引かれる映画です。

www.youtube.com

 

『パーフェクト・トラップ』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。あまりメジャーな映画ではないからなのか、他ではTSUTAYA TVなどでしか取り扱いがなさそうです。Amazonでも見放題作品になっているのでおすすめです!

TTV

 

映画『ヴィジット』見ました。

『ヴィジット』日本版予告

シックスセンス』『アンブレイカブル』などのM・ナイト・シャマラン監督の2015年の作品。スプリットを見た時に調べて気になったので、早速見てみる事にしました。

『ヴィジット』の3つの約束

1. 楽しく過ごす事


2. 遠慮なく食べる事


3. 夜9時半以降は部屋から出ない事

 

『ヴィジット』のあらすじ

1週間の休日を過ごすために幼い姉弟は子供だけで母方の祖父母の家を訪れた。人懐っこい祖母と寡黙だが優しい祖父に出迎えられ、姉弟は楽しく休日を満喫する。姉弟の趣味である動画撮影に祖父母は最初は眉をひそめていたが、少しずつ協力的になってくれて動画にも出てくれたりもした。
そんな祖父母の家には3つの約束があった。楽しく過ごし、遠慮なく食べ、そして夜は部屋から出ない事。
しかし、夜になり異様な物音を聴きドアを開けた姉弟は、見てはいけないその家の秘密を目の当たりにするのだった…。

 

『ヴィジット』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

POVを上手く使った弱サイコホラー

姉弟が祖父母の家を訪れる中で、特に序盤は姉弟の撮影する動画を主体にPoint of view(主観視点)で話が展開していきます。

低予算で良質の映画が作れる事からブレアウィッチプロジェクト以降たくさんのホラー映画で用いられてきた撮影方法ですが、さすが大物監督だけあってカットを多めにしてテンポよく展開していくよく出来たVLOGでした。

起承転結の起承あたりまでの、映画の設定の解説的な部分も退屈する事なく見れたので自然な流れで転結部分に入れたように思います。

ただ、ホラーファンからすると、それでもちょっと前半が長かった…。和やかなファミリームービーがこの話の特徴でもあるので削りすぎるのはもったいないとは思うけれど、助走を長く取った割には高く飛べたわけではなく想定した着地点にそっと降り立つだけのような後半の展開は少し物足りなさも感じました。もっとおじいちゃんおばあちゃんは完全に9時半以降狂ってしまっても良かったかなと思います。カニバリズムくらいはあってもよかったかも。(Mナイトシャマランっぽくはなくなりますが…笑)

 

最初から最後まで見やすく作られているので、普段はあまりホラーは見ないけど、たまにはホラーでも見ようかなっていう時には丁度いいくらいの熱量かもしれません。

 

『ヴィジット』が見れるVOD

今回はAmazon Prime(199円)で視聴しました。他にはdTV、auビデオパスなどでも見れるみたいです。dTVは多分見放題、auビデオパスも初回分のポイントを使えば無料視聴も可能です。

dTVビデオパス

ヴィジット (字幕版)

ヴィジット (字幕版)

 

 

映画『蜘蛛の巣を払う女』見ました。

映画『蜘蛛の巣を払う女』予告(2019年公開)

『セブン』などのデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮、『死霊のはらわた』や『ドント・ブリーズ』などのフェデ・アルバレスが監督。『ドラゴンタトゥーの女』シリーズ最新作としてハードル超上げ必須な本作、早速視聴してみました。

www.girl-in-spidersweb.jp

蜘蛛の巣を払う女』のあらすじ

冷え切った空気が人の心まで凍てつかせるストックホルムの厳しい冬。
背中にドラゴンのタトゥーを背負う天才ハッカー、リスベット・サランデルに仕事が依頼される。

「君しか頼めない――私が犯した“罪”を取り戻して欲しい」

人工知能=AI研究の世界的権威であるフランス・バルデル博士が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻すこと。
それは、その天才的なハッキング能力を擁するリスベットにしてみれば簡単な仕事のはずだった。

しかし――、それは16年前に別れた双子の姉妹、カミラが幾重にもはりめぐらした狂気と猟奇に満ちた復讐という罠の一部に過ぎなかった。

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© 2018 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

蜘蛛の巣を払う女』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

シリアスなアクションサスペンス

『セブン』でも『ゲーム』でも、もちろん『ドラゴンタトゥーの女』でも、デヴィッド・フィンチャー監督の作品はどれも予想し得ない方向に伏線で引っ張られて物語が流れるように進んでいくところがとても好きでした。

だからこそ今作は、クオリティは非常に高いのですが予想外な部分というの少なくてハードル上げすぎた感は否めなかったです。総指揮という肩書がどこまで本編に関与されているのかわからないですが、もしかしたらフェデ・アルバレス監督の色が大きく出ていたのかもしれません。

なんというか主観的な意見になりますが、物語もアクションもサスペンスも全てがバランスよく平均点で、それ故インパクトが薄く、美味しいんだけど決して自分で買うことはない高級ハムみたいな映画でした。貰う機会があれば是非味わってほしいとは思いますが、自分で買わなくてもいいかもしれません。

 

とはいえアクションサスペンス映画としての出来は非常に高いので、『ドラゴンタトゥーの女』の元になったスウェーデンの映画『ミレニアム』などが好きならば十分楽しめるとは思います。(私は「ミレニアム」は1でギブアップでした。)リスベット役やミカエル役も『ドラゴンタトゥーの女』とは異なっているので、続編ではなく新しい作品として見たほうが楽しみやすいかもしれません。

 

蜘蛛の巣を払う女』が見れるVOD

私はAmazon Prime(400円)で見ました。それ以外でもU-NEXT、dTV、TSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいですが、いずれもレンタルで見放題はなさそうです。トライアルでポイントを使えば無料で視聴が可能なのでおすすめです!

U-NEXTdTVTTVビデオパス

蜘蛛の巣を払う女 (字幕版)

蜘蛛の巣を払う女 (字幕版)

 

 

 

映画『万引き家族』見ました。

『万引き家族』予告編

『誰も知らない』『そして父になる』『三度目の殺人』などで世界的にも有名な是枝裕和監督の最新作であり、カンヌ映画際でパルム・ドールを受賞したりアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたりと世界的にも評価の高い本作。Amazon Primeで視聴できるようになっていたので早速見てみました。

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万引き家族』のあらすじ

高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、柴田治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込む。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。足りない生活品は、万引きで賄っていた。社会という海の底をひっそりと漂うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねた治が家に連れて帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていくーー。

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万引き家族』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

点数 85点

いつもは星をつけてましたが、星5はゆうに超えているので点数表記にしてみました。完全に主観的な評価ですのでご参考程度に。ちなみに『誰も知らない』を90点とした時の点数です。

エスプレッソみたいな映画

初めて『誰も知らない』を見た時はこんなに素晴らしい映画があるんだと衝撃を受けましたが、この『万引き家族』もそれに劣らないくらい日本にとって大切な映画でした。世界的に評価されている作品ですが、是枝監督のお話はやはり日本人に向けたメッセージ性の強い作品だと思います。

一言で言うなら、日本の社会を煎って挽いて濃く抽出したエスプレッソみたいな映画だと思いました。失われがちな家族の愛情や貧富の差からくる社会の闇の部分など、昨今の平和ボケした日本が見て見ぬふりをしている影を、高い圧力をかけて抽出したような濃厚な一杯の映画でした。

だからこそ苦すぎてつまらないという意見もちらほら見られるんだと思います。特に『誰も知らない』に比べて『万引き家族』は苦味が強いので、これが世界的に受け入れられて評価されている事が不思議にさえ思えます。

子供の演技に関しては『誰も知らない』の頃から定評がありましたが、今作はそれ以外の部分でも映画の世界への吸引力が抜群で、主演であるリリー・フランキーさんや樹木希林さんはもちろん、母役?の安藤サクラさんの演技も非常に見応えがありました。

後半部分で警察が取調べをするべく万引き家族の一人一人に聴取するシーンでは、普遍的な優しさを含んだありふれた台詞の浅はかさに思わず笑えてしまったり、いつの間にか万引き家族の一人となって家族を応援してる自分がいました。

監督の真意はわかりませんが、他にもマスメディアの報道であったり色々な部分で日本社会を間接的に批判をしているように感じられる部分が多かったです。

せっかくなら、例えば大物YouTuberが街中で笑いながら撮影してる横を万引きを終えた子供が通り過ぎるシーンとかを盛り込んだりしても、コントラストが映えて面白い絵ができたかなとも思います。ちょっと直接的すぎるかな…。

 

ともあれ、切れそうな愛おしい糸とそれが切れてからの話の展開が秀逸で最後まで非常に楽しんでみる事ができました。

 

ただ、前述の通り非常に濃いエスプレッソのような映画なので、見すぎるとお腹を壊すかもしれません。飲み過ぎは注意です。途中ちらほらBGMも流れていましたが、隙間の多い美しいBGMをもっとたくさんのシーンで流してくれたら、もしかしたら少し味が薄まって飲みやすくなったかもしれません。(良さが消えるのかもしれませんが。)

 

万引き家族』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。それ以外でもU-NEXT、dTV、TSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいですが、おそらく見放題で見れるのは今のところAmazonだけだと思われます。他のVODはPPVでの配信のようなので、トライアルでポイントを使って無料で視聴が可能になっています。

U-NEXTdTVTTVビデオパス

 

映画『ミスター・ガラス』見ました。

「ミスター・ガラス」デジタル配信 予告編

アンブレイカブル』『スプリット』から続くM・ナイト・シャマラン監督の人気シリーズ。本作はアンブレイカブルのデイヴィッドとイライジャ、スプリットのケビンなどの主要人物が勢揃いという事で、非常に非常に楽しんで見ることができました。過去の回想などはほぼなく新しい話として作られているので、内容を忘れている方は前作を見てから視聴する事をおすすめします。

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『ミスター・ガラス』のあらすじ

フィラデルフィアのある施設に3人の特殊な能力を持つ男が集められ、研究が開始された。彼らの共通点はひとつ―自分が人間を超える存在だと信じていること。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)、24もの人格を持つ多重人格者ケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)、そして、非凡なIQと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つ〝ミスター・ガラス″(サミュエル・L.ジャクソン)…。彼らは人間を超える存在なのか?最後に明らかになる“驚愕の結末”とは?

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©Disney

『ミスター・ガラス』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

アメコミベースの異質サスペンス

アンブレイカブル」「スプリット」もばっちり視聴して、準備万端で挑んだ「ミスター・ガラス」。この作品を見るに当たって前提としておいた方がいいのは『アメコミがベースになっている』という事。これが良くも悪くもこの作品を普通のサスペンスではない別のものに変えていると感じました。

コミックのあるあるな設定をサスペンスに盛り込んだ形で話が展開していくので、見方によっては非常にチープに見えます。映像も最近の映画なのでもちろん綺麗ではありますが、カメラワークなどはなんとなく古めかしさも感じられてそのアンバランス加減が最初は少し違和感さえありました。

しかしなんとなく「あぁ、スーパーヒーローものなのか」と分かってくると、その違和感もなくなってシリアスな展開の波に飲まれながら作品を楽しむ事ができたように思います。

おそらく最初の違和感の原因は上に上げた予告編のせい。予告編ではミニマルな設定を上手に活かして作ったスタイリッシュで洗練されたサスペンスみたいな印象を受けたんですが、実際に味わってみるともっとインパクトの強いはっきりとした主張のあるわかりやすい映画でした。

それがダメだという話ではなく、最初からそういう目線で見たかったという事です。攻殻機動隊っぽいのかと思ってたらワンピースだったっていうような感じです。

ケビン&ケイシー

スプリットで登場した解離性人格障害のケビンとヒロインのケイシーが急に恋仲になっていました。個人的にはこの話をもっと広げてほしかった!むしろこのケビン&ケイシーの恋愛ものとしてもう1本続編を作ってほしかった!

スプリットは初見だったこともありそれぞれの人格が掴みづらかったですが、今作はそれぞれの人格を説明するように話が展開してくれていたのでわかりやすかったです。そして、だからこそケイシーの恋の行方を見守りたくなりました。

アンブレイカブル』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。それ以外でもU-NEXT、dTV、TSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいです。いずれもPPVでの配信のようですが、トライアルでポイントを使えば無料で見ることもできるんでおすすめです!

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ミスター・ガラス (字幕版)

ミスター・ガラス (字幕版)

 

 

映画『アンブレイカブル』見ました。

アンブレイカブル (字幕版) - Trailer

前回のスプリットの続編である『ミスター・ガラス』を見る前に、もう一度『アンブレイカブル』を見ておきたくて視聴しました。公開当時映画館へ見に行ったような記憶もちらほらありますが、内容はすっかり消え去ってしまっていたんで改めて見返してよかったです。

www.disney.co.jp

アンブレイカブル』のあらすじ

フィラデルフィアで、131人もの乗員・乗客が死亡するという凄惨な列車事故が発生。だが、たった一人、奇跡の生存者がいた。

その男デヴィッド(ブルース・ウィリス)は、マスコミや周囲の者たちの異様な視線に戸惑う。

「なぜ、俺だけが?」

誰よりも彼自身がその答えを求めていた。

ある日、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と名乗る男が現れ、デヴィッドこそ不滅の肉体を持つ者≪アンブレイカブル≫であると告げる。その言葉をきっかけに、デヴィッドは自己の存在意義を問うようになる。そして、それは恐るべき真実への幕開けだった・・・。

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©Disney

アンブレイカブル』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

シックス・センス』は今でもネタバレまでしっかり覚えているくらいインパクトの強い作品でしたが、それと比較してしまうとオチのパンチ力が物足りなかったです。そもそも別の話なので比較すべきではないのかもしれませんが、M・ナイト・シャマラン×ブルース・ウィリス作品という事で「どうなるんだっけ!」と自然とハードルが上がってしまって、ラストが若干肩透かし的になってしまいました。(シックス・センスがすごすぎただけかもしれません。)

とはいえ、オチの全てはここでは伏せますが「そういう展開か!」と驚かせてくれる程の余力は十分にあり、次に見ようと思っていた「ミスター・ガラス」への序章としての役割をしっかり担ってくれていたように思います。

この映画単品で考えたら星3ですが、三部作ならスプリット同様もっと評価は高くなりそうです&間を開けずに2、3年周期で作ってくれたらもっと有名になった映画なんじゃないかなとも思えたり。

噂ではスタジアムで母親に手を引かれている子供にフォーカスするシーンがあるのですが、それがスプリットのケビン(解離性人格障害の犯人)ではないかなど次作への伏線も色々盛り込まれているようです。

重複しますが、この映画だけで楽しむのではなく、おそらくミスター・ガラスも含めた3作品として楽しむ事で本来の良さが出るような映画でした。という事で次は『ミスター・ガラス』見ます!楽しみです。

アンブレイカブル』が見れるVOD

私はAmazon Prime(199円)で見ました。おそらくU-NEXTだと見放題作品に含まれていて、それ以外でもdTV、TSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいです。トライアル中なら無料で見ることもできるんでおすすめです!

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アンブレイカブル(字幕版)

アンブレイカブル(字幕版)