映画『籠の中の乙女』見ました。
『ロブスター』という映画でヨルゴス・ランティモス監督を知ってから他作品も見てみたいと思っていて、ようやく見ることができました。この監督さん、好きですわー。
『籠の中の乙女』のあらすじ
ギリシャの郊外にある裕福な家庭。だが、一見普通にみえるこの家には秘密があった。外の世界の汚らわしい影響から守るために、両親が子どもたちをずっと家の中だけで育ててきたのだ。 邸宅の四方に高い生垣をめぐらせ、「外の世界は恐ろしいところ」と信じ込ませるために作られた“厳格で奇妙なルール”の数々。彼らの生活は、まったく普通のものではなかったが、子どもたちは純粋培養の中すくすくと成長し、幸せで平穏な日々が続いていくかのように思われた。 しかし、ある日父親が年頃の長男のために、外の世界からクリスティーナを連れてくる。彼女の出現によって、子どもたちの心には様々な変化が起き始めるのだった…。
© 2012 籠の中の乙女 / AYA PRO Inc.
『籠の中の乙女』の感想
※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。
星 ★★★★☆
知らぬは仏?
ランティモス監督作品はロブスターしか見た事がありませんが、ロブスターよりも更に奇っ怪で癖の強い映画でした。
設定が超絶歪んでいるため登場人物も全てアンバランスな違和感があるようなキャラクターが多く、その枠組みの中で描かれた『普通の毎日』を美味しいと感じるかまずいと感じるかは見る人次第ですみたいな感じの映画です。これは本当に人を選ぶ映画だと思います。
一言で表すとブラックユーモアのあるカルトファミリーのドラマとでも言いましょうか。子育ては宗教であり洗脳なんだと改めて感じました。
「ママ、庭でゾンビを見つけたよ。摘んでいこうか?」
これだけ聞くとなんのこっちゃわからんですが、花をゾンビとして教えていれば『ゾンビ』も普段の毎日に頻繁に登場する言葉になります。そんな言葉遊びがすごく面白かったり、他にも奇っ怪な設定が多数盛り込まれていて、個人的には大ヒットでした。
最後は、外の世界に興味を持った長女が脱走を試みるのですが、試みる場面でエンドロールが流れます。もはや笑ってしまうくらい「終わりなの!?」という感じでバッサリ(笑)
もし私がこのお話の演出をするなら、実はこの一家は本当の一家ではなくて家族が欲しいサイコパスな男と自分を持たない心の弱い女が子供をさらって疑似家族を作ってるなんていう設定を盛り込みたいですが(クリミナル・マインドであった気もしますがw)、きっとそれをやってしまうとこの映画の本当の良さは消えてしまうのかもしれません。何もないからこその『異常』で、安全に見るための理由は見つからない方がこの映画は良いんだろうと思います。
BGMもないですし設定は異常ですし性描写も多々ありますが、私は好きでした。映画としてのクオリティはロブスターの方が高いと思いますし、だからこそそれ以後の『女王陛下のお気に入り』なども更に見たくなりました。
『籠の中の乙女』が見れるVOD
私はAmazon Primeで見ましたがPPV作品です。他にもU-NEXT、TSUTAYA TVなどでも見れるみたいです。U-NEXTは見放題作品に含まれているようなんで、まだ試した事がない方はU-NEXTがおすすめです。(TSUTAYA TVはAmazon同様PPV。)