暇乞い | itoma-goi *

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毎日はあっという間でちょっと悲しい : )

映画『万引き家族』見ました。

『万引き家族』予告編

『誰も知らない』『そして父になる』『三度目の殺人』などで世界的にも有名な是枝裕和監督の最新作であり、カンヌ映画際でパルム・ドールを受賞したりアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたりと世界的にも評価の高い本作。Amazon Primeで視聴できるようになっていたので早速見てみました。

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万引き家族』のあらすじ

高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、柴田治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込む。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。足りない生活品は、万引きで賄っていた。社会という海の底をひっそりと漂うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねた治が家に連れて帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていくーー。

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万引き家族』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

点数 85点

いつもは星をつけてましたが、星5はゆうに超えているので点数表記にしてみました。完全に主観的な評価ですのでご参考程度に。ちなみに『誰も知らない』を90点とした時の点数です。

エスプレッソみたいな映画

初めて『誰も知らない』を見た時はこんなに素晴らしい映画があるんだと衝撃を受けましたが、この『万引き家族』もそれに劣らないくらい日本にとって大切な映画でした。世界的に評価されている作品ですが、是枝監督のお話はやはり日本人に向けたメッセージ性の強い作品だと思います。

一言で言うなら、日本の社会を煎って挽いて濃く抽出したエスプレッソみたいな映画だと思いました。失われがちな家族の愛情や貧富の差からくる社会の闇の部分など、昨今の平和ボケした日本が見て見ぬふりをしている影を、高い圧力をかけて抽出したような濃厚な一杯の映画でした。

だからこそ苦すぎてつまらないという意見もちらほら見られるんだと思います。特に『誰も知らない』に比べて『万引き家族』は苦味が強いので、これが世界的に受け入れられて評価されている事が不思議にさえ思えます。

子供の演技に関しては『誰も知らない』の頃から定評がありましたが、今作はそれ以外の部分でも映画の世界への吸引力が抜群で、主演であるリリー・フランキーさんや樹木希林さんはもちろん、母役?の安藤サクラさんの演技も非常に見応えがありました。

後半部分で警察が取調べをするべく万引き家族の一人一人に聴取するシーンでは、普遍的な優しさを含んだありふれた台詞の浅はかさに思わず笑えてしまったり、いつの間にか万引き家族の一人となって家族を応援してる自分がいました。

監督の真意はわかりませんが、他にもマスメディアの報道であったり色々な部分で日本社会を間接的に批判をしているように感じられる部分が多かったです。

せっかくなら、例えば大物YouTuberが街中で笑いながら撮影してる横を万引きを終えた子供が通り過ぎるシーンとかを盛り込んだりしても、コントラストが映えて面白い絵ができたかなとも思います。ちょっと直接的すぎるかな…。

 

ともあれ、切れそうな愛おしい糸とそれが切れてからの話の展開が秀逸で最後まで非常に楽しんでみる事ができました。

 

ただ、前述の通り非常に濃いエスプレッソのような映画なので、見すぎるとお腹を壊すかもしれません。飲み過ぎは注意です。途中ちらほらBGMも流れていましたが、隙間の多い美しいBGMをもっとたくさんのシーンで流してくれたら、もしかしたら少し味が薄まって飲みやすくなったかもしれません。(良さが消えるのかもしれませんが。)

 

万引き家族』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。それ以外でもU-NEXT、dTV、TSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいですが、おそらく見放題で見れるのは今のところAmazonだけだと思われます。他のVODはPPVでの配信のようなので、トライアルでポイントを使って無料で視聴が可能になっています。

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