暇乞い | itoma-goi *

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毎日はあっという間でちょっと悲しい : )

映画『プリズナーズ』見ました。


www.youtube.com

Prime Videoで高評価のサスペンス。2013年の作品で、おそらく当時見た気もしましたが、内容全く覚えていなかったのでもう一度見てみました。

プリズナーズ』のあらすじ

家族と過ごす感謝祭の日、平穏な田舎町で幼い少女が失踪(しっそう)する。手掛かりは微々たるもので、警察(ジェイク・ギレンホール)らの捜査は難航。父親(ヒュー・ジャックマン)は、証拠不十分で釈放された容疑者(ポール・ダノ)の証言に犯人であると確信し、自らがわが子を救出するためにある策を考えつくが……。

シネマトゥデイ

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プリズナーズ』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

サスペンスとしての陳腐さ

プリズナーズをなんとなく流してみた率直な感想としては「まぁまぁ面白かった」というものでした。

ネタバレになりますが、プリズナーズの凡その話としては、少女が誘拐され、付近に泊まっていた車に乗っていた青年が疑われ、一時的に容疑者となりますが、証拠不十分で釈放。

その後すったもんだあって、結局その青年の保護者である叔母が犯人だったという内容です。

 

サスペンスとしては意外性も薄く、犯行動機もサイコパス的な感じで心理描写も少なかった事から、そこまでの名作ではないと感じました。

 

宗教的なアプローチが補完していた

感想序盤から結構なネタバレをしましたが、犯人は誰というのはこの映画の見どころではありません。

サスペンス的なアプローチをしているだけで、この映画は宗教映画だと思います。

 

冒頭でキリスト教の主の祈りが登場し、映画の登場人物も宗教色が満載。

ケリー(神を信じる者) vs. ホリー(反逆者)に加えて、ロキ(異教徒)の三つ巴の戦いを描いた話になっています。

 

それを踏まえた上で見ないと、微妙なサスペンス映画になってしまうのでガッツリネタバレしました。

 

感想のまとめ

前回のウィンチェスターハウスと同様に、星は3つですが、決して見て損をするような映画ではありません。

お酒を飲んだり食事をしながらちょっとサスペンスが見たい、と感じた時に丁度いい映画だと思います。

 

個人的には、サスペンスなのか宗教映画なのかをもう少しはっきりさせて、そのどちらかにもっとしっかり比重を置いた方が見応えが増すように感じました。

あるいは実は信仰する側のケリーが昔ホリーの子供を殺していて、最後は反逆者に回るなど、もう一捻りあっても良かったように思います。

 

プリズナーズ』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。見放題で見れて月額も500円なのでおすすめです。それ以外でもU-NEXTでも見れるようです。トライアルでポイントを使えば無料で視聴も可能です。

U-NEXT 

プリズナーズ(字幕版)

プリズナーズ(字幕版)

  • 発売日: 2014/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』見ました。


映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』予告編

久々の更新は、がっつりホラー。ホラー映画でよく使われるウィンチェスターの名の由来になっている実話を元にしたお話です。

 

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』のあらすじ

“西部を征服した銃”とまで呼ばれたウィンチェスター銃を開発し、莫大な資産を築いたウィンチェスター一族。娘、夫を次々に失った未亡人サラ・ウィンチェスターは、残された莫大な遺産とともにカリフォルニアに居を構え、毎日24時間家を増改築し続ける生活を始める。彼女の住む屋敷は500の部屋を有する奇怪な屋敷へと変貌を遂げていた―
 自らの不遇を高名な霊媒師に相談したサラは、一族の身に起きる不幸は全てウィンチェスター銃によって命を落とした亡霊たちによる仕業であり、彼らを閉じ込めるべく屋敷を拡大し続ける必要があると告げられたためであった。妄信的に増改築を続けるサラをウィンチェスター社の経営陣はいぶかしく思い、精神不安を理由にサラから経営権を奪うため、精神科医のエリック(ジェイソン・クラーク)を屋敷に送り込む。
 屋敷に到着したエリックは黒衣を纏うサラと面会をするが、サラに精神的な異常があるとは思えないでいた。滞在中、エリックは毎晩怪奇的な現象に苦しめられ、次第に追い込まれていく。不審に思ったエリックが屋敷を調べると厳重に閉じられた禍々しい部屋を発見する。そんな中、サラの姪マリソンの息子、ヘンリーが何者かに憑りつかれ、命の危険にさらされる。
 ウィンチェスターハウスに巣くう亡霊の正体とは何なのか―?

(C) 2018 Winchester Film Holdings Pty Ltd, Eclipse Pictures, Inc., Screen Australia and Screen Queensland Pty Ltd. All Rights Reserved.

 

『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

「ウィンチェスター」というハードル

ウィンチェスターという名前は、スーパーナチュラルや他の映画などでも多く使われていて、実話ベースという事でかなりハードルが高かった映画でした。

そのハードルを越えてきたかというと、「うーん…」というのが正直な感想です。

監督が「ジグソウ:ソウ・レガシー」のスピエリッグ兄弟だったのもハードルが高くなってしまった要因の一つかもしれません。

 

ざっくり言ってしまえば、ちょっと風変わりな屋敷で素敵なおばあちゃんと精神科医がお化けを退治するだけの印象です。

特別お化けが怖すぎたりするようなこともなく、良くも悪くも「ザ・ホラー映画」といったところ。

 

個人的にはもっと屋敷をフォーカスした演出をしてほしかった感じがします。

部屋ごとにどんなエピソードがあったかや、なぜこの屋敷がその形になっていったかなどを詳しくやってほしかったです。

 

サラ・ウィンチェスターの魅力

実際のところは分かりかねますが、映画の中のサラ・ウィンチェスターはとても素敵なおばあちゃんな印象でした。

屋敷を増築し続けるという奇行から会社から精神鑑定を依頼されてしまうのですが、全く異常な感じはせず、誰よりも冷静で本質を知りつつ、お化けサイドで行き続ける様がとても魅力的な感じがしました。

演者のヘレン・ミレンさんの雰囲気もあってだとは思いますが、きっと普段はすごく優しくてクッキー焼いたり畑耕したりしていそう(あくまで勝手なイメージです笑)。

 

感想のまとめ

評価としては星3つですが、見て損をするような微妙な映画などではなく、良い意味でちょうど良いホラーだと思います。

スプラッターではないのでソウが苦手な方なども見れると思いますし、怖さという意味でも個人的にはそこまでではない気がします。

ストーリーはしっかりしていて見やすいので、ホラー好きだけど怖すぎるのは苦手な方や久しぶりに何かホラー映画見たい時などにピッタリな気がします。

 

『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。見放題で見れて月額も500円なのでおすすめです。それ以外でもU-NEXTやTSUTAYA TVなどでも見れるみたいです。トライアルでポイントを使えば無料で視聴も可能です。

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映画『ラストレター』見ました。


映画『「ラストレター」』予告【2020年1月17日(金)公開】

2020年1月公開の岩井俊二監督作品。既に色々なVODで視聴が可能になっていて、早速見てみました。

last-letter-movie.jp

 

『ラストレター』のあらすじ

裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。
ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく。

©2020「ラストレター」製作委員会

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『ラストレター』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

点数 79点

いつもは星ですが大好きな監督さんのため点数表記です。完全に主観的な評価ですのでご参考程度に。ちなみに『PiCNiC』を90点とした時の点数です。

ストーリーについて

前回の『リップヴァンウィンクルの花嫁』に続いて、再び岩井俊二さんの作品を見てみました。岩井さんの作品はどれも大好きで、特に私は古いものが好きなのですが、その中の『Love letter』という映画とリンクする形で作られた本作。監督自身の実体験が元になっているとかいないとか。

 

公式サイトに著名人の絶賛コメント続々との書き込みがあったり評判もなかなか良い作品でしたが、個人的にはそこまでではないと思います。もちろん悪くはないのです。エンターテイメント性の強い陳腐な恋愛作品に比べれば遥かに見応えはありますが、もう少し話を簡素にして演出にこだわって欲しかったかなと感じました。

 

表現が難しいですが、所謂売れ線の王道映画の話の主軸や見た側が感じる感覚は多くても3つくらい、それが邦画に多く見られる主題をぼかして受け取り方を明確にしていないものだと10くらいとすごく増えたりすると思います。多ければ多いほど1つずつから受けるインパクトは薄くなるのですが、岩井俊二さんは割とそれが少ない方が素敵な映画だと思える事が多かったように思います。

 

このラストレターはそれがすごく多くて、何度も言いますが全く悪い映画などではないのですが、細かな粒がゆっくり少しずつ集まって、気付くと見入っているような映画でした。あくまで個人の主観的な感覚の話ですし、出来事自体はシンプルなので、すんなり見られる人も多いかもしれません。

ただ、個人的にはできればもう少しそれぞれの出来事を鮮明にするか強烈なインパクトのある出来事を盛り込んで分かりやすい波を作っていただけたら、更に好きな映画になり得た気もします。

 

キャストについて

松たか子庵野秀明福山雅治広瀬すず神木隆之介豊川悦司中山美穂などなど、錚々たるキャストが出演されていて、それだけで見応えがありました。特に私は豊川悦司さんと中山美穂さんが大好きなので、二人のシーンは非常に印象的でした。もっと言うならば、豊川悦司さんを乙坂鏡史郎役にして中山美穂さんを岸辺野裕里役にして、阿藤役に庵野秀明さんとかでも良かったかもしれません。(それだとドラマのLove Storyっぽくなりそうですがw)

 

全体的なキャスティングのバランスが非常に良くて、良すぎて、なんだか少しNHKっぽく見えるシーンもありました。

 

まとめ

おそらく現在はどのVODでも見放題では見れず課金が必要になってくると思います。私が見たAmazonも500円のレンタル作品でした。

でも十分にその価値は感じられたし、ぼんやりと、じんわりと、温かい思いがゆっくり心に流れ込んでくるような映画だったように思います。

「何か映画が見たい!!」という時に見ると物足りなさを感じると思いますが、「ちょっと時間が出来たから、お茶飲みながら映画でも見よう」という時などは最高に幸せな気分になれそうな気がします。

 

それぞれの世代での人を好く思いやその想い方が、とても綺麗に紡がれた作品でした。

 

『ラストレター』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。レンタル作品扱いで500円ほどですが、後悔はしません!他にもU-NEXTやauビデオパス、TSUTAYA TVなどでも見れるようです。いずれもレンタル作品扱いですが、初回登録時に無料ポイントが貰えるものもあり、それを使えば無料で視聴も可能です。

U-NEXTTTVビデオパス

ラストレター

ラストレター

  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

映画『ドクター・スリープ』見ました。


映画『ドクター・スリープ』US版メイン予告【HD】2019年11月29日(金)公開

すっかり忘れておりました「シャイニング」の続編。ようやく思い出して即見てみました。レンタルですが色々なVODで視聴が可能になっています。

wwws.warnerbros.co.jp

 

『ドクター・スリープ』のあらすじ

40年前の惨劇を生き延びたダニーは、心に傷を抱えた孤独な大人になっていた。父親に殺されかけたトラウマ、終わらない幼い日の悪夢。そんな彼のまわりで起こる児童連続失踪事件。ある日、ダニーのもとに謎の少女アブラからメッセージが送られてくる。彼女は「特別な力」を持っており、事件の現場を“目撃”していたのだ。事件の謎を追う二人。やがて二人は、ダニーにとって運命の場所、あの“呪われたホテル”にたどりつく。

"呪われたホテル"の扉が開く時、全ての謎が明かされるー

©2019 Warner Bros. All Rights Reserved.

 

『ドクター・スリープ』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★☆☆

「シャイニング」ベースのヒューマンドラマ

この作品は、「シャイニング」をベースにしたヒューマンドラマなので、ベースを知っているといないとでは評価が大きく分かれそうです。

「シャイニング」と言えば、見たのは昔ですがかなり怖かったイメージがあり、「羊たちの沈黙」と同じくらいホラー映画の中でも評価が高い作品の一つです。その怖さというものが、本作ではほとんどありません。故にホラー映画ではないという印象を受けました。お化けは出てきますが、超能力で戦ったり銃撃戦などもあるので、スーパーナチュラル(特にシリーズ後半)と似た雰囲気があります。

 

記事を書くにあたって少し調べてみたら、どうやら原作者のスティーブン・キングは前作の映画「シャイニング」のキューブリックの演出に非常に納得がいっていなかったらしく、もしかしたら今回続編を映画化するにあたって、スティーブン・キングに寄せた作品に敢えてしているのかもなどとも思いました。

 

 

特に前半部の世界の説明にあたる部分で間延び感が感じられて、良すぎる原作を映画化した時に感じる違和感を少し感じたりもしました。

個人的には「シャイニング」のような、もっとホラーならではのインパクトの強い演出があっても良かったかなと思います。「シャイニング」の恐怖感を期待して見ると裏切られてしまうかもしれません。

 

キャラとキャスティング

もう一つ気になったのが、キャラとキャスティングについてです。

主人公のダンをユアン・マクレガー、ボス的な存在であるローズ・ザ・ハットをレベッカ・ファーガソン、小さな天才サイキック役のアブラ・ストーンをカイリー・カランという子役が演じていたのですが、どれも素敵。それでいて悪役がトゥルーノット(霊魂を吸って生きるヴァンパイヤのような存在)という100%悪者とは言えない者達と敵対して、更にどちらかというと終始人間がトゥルーノットを追い詰めていく雰囲気だったのが、若干サイコパスっぽく見えてしまい、なんだか弱いものいじめしている印象を受けてしまいました。もっとトゥルーノットが殺戮しまくって、仕方なくダンやアブラが殺す事にするような展開の方が好みだったかもしれません。それならダンとローズが恋に落ちた方がいいのかなぁ…でもそれだとそこら辺によくあるヴァンパイヤ映画と同じになってしまうのか…。

 

言語が英語なので演技は分かりませんが、それでもアブラは超天才子役っぽい雰囲気がびしびし伝わってきていました。憑依されている時の表情などは子役らしからぬ達観しているような感じもして印象に残っています。

 

まとめとしては、ハードルを上げるとよくないかなと思って低めに設定していたのでダメージが少なかった映画という感じでした。シャイニングファンなら見て損はありませんが、シャイニングを知らないホラー好きな方やガッツリホラーが見たい方にはあまりおすすめはしません。

 

『ドクター・スリープ』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。他にもU-NEXTやTSUTAYA TVなどでも見れますが、いずれも見放題ではなくレンタルになっているようです。

U-NEXTTTV

ドクター・スリープ(字幕版)

ドクター・スリープ(字幕版)

  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: Prime Video
 

 

 

映画『天気の子』見ました。


映画『天気の子』予報①

『君の名は』で世界的に有名になった新海監督の最新作。ご紹介する必要がないくらい有名な作品ですが、VODでも見られるようになったので感想など綴ってみようと思います。

 

『天気の子』のあらすじ

「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。

©「天気の子」製作委員会

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『天気の子』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

好きな気持ちを好きになれる映画

多分僕が新海誠監督の映画を初めて見たのは、『星を追う子ども』という作品だったと思います。

『君の名は』よりも以前の作品でまだ監督の名前も知らない頃だったので「面白い映画見つけちゃった!」と、掘り出し物を見つけた気分で喜んでいました。

 

その後『君の名は』が爆発的に大ヒットして、知らない人がいないくらい有名な監督になった後の一作目。それはそれは、ハードルは爆上がり必須なのは当然の事です。

 

個人的には結構予想外というか、シリアスな色味が強くなっていくような予感がしていたのですが、全く違って、青春+ちょっとコメディ色もありきな、ライトな作風の作品になっていました。

『君の名は』よりも更に見やすくエンターテイメント性の高いファンタジー作品になっていたと思います。

若いカップルがデートで見るのにちょうどいいサイズの満足感のある映画というか。

 

私自身若干肩透かしをくらったものの、最後まで楽しく見ることができました。

『君の名は』でもそうでしたが、本当に尖すぎて涙を呼ぶくらい、真っ直ぐな愛を上手に描く監督さんだと思います。

雨っていいですよね。

東京は雨よりも曇り空が多いので、時々土砂降りになるとウキウキしていた事を思い出しました。 

 

テンポやリズムの早さ

物語のテンポの良さは新海監督の作品の特徴でもありますが、今作もリズム良く話が進んで展開していくので非常に見やすかったです。

特に歌モノのBGMを使う場面では、BGMに合わせて映像を作られているので、PVを見ているような感覚にもなります。

『君の名は』でもそうでしたが、今回も非常にそれを感じました。

 

が、

若干そこにこだわり過ぎて、人物の心理描写がおざなりになっている感がちょっとあったりなかったり。

漫画をページ飛ばしで読んでいる時のような感覚というか、もう少し丁寧に描写した方がわかりやすそうなところでもビュンビュンかっ飛ばして展開していくので、移入した感情が置いてけぼりになってしまう場面もありました。

 

できれば4時間くらいにして(長過ぎかもですがw)、もう少しゆっくりと世界を堪能しながら見たかった気もします。

 

天気の子の世界観

『天気の子』は『君の名は』と同じ世界で描かれています。

アクセサリを販売している店員さんのネームプレートに「miyamizu」(君の名はのヒロイン)と書かれていたり、晴れ女サービスを以来したおばあちゃんの孫が瀧くん(君の名はの主人公)だったり、他にもところどころで『君の名は』の登場人物が出てきているそうです。

 

分けて欲しかった方もいると思いますが、個人的には『君の名は』はとても大好きな作品だったので純粋にまた出てきてくれるのは嬉しかったです。

 

星が降ってきたり天気が操れたり、なんとも不思議な世界。

多分これは映画よりもゲームにした方が魅力が増しそうな気がします。

遊びの部分はほとんどなくても良いので、映像コンテンツとして天気の子を出してほしい!

東京を舞台にしたオープンワールドで、沈んだ東京の街を自由に散歩して見て回れたりしたらすごく楽しそうです。

 

『天気の子』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。他にもU-NEXTやTSUTAYA TVなどでも見れますが、いずれも見放題ではなくレンタルになるようです。

U-NEXTTTV

天気の子

天気の子

  • 発売日: 2020/03/04
  • メディア: Prime Video
 

 

映画『ミッドサマー』見ました。

『ミッドサマー』本国ティザー予告(日本語字幕付き)|2020年2月公開

ヘレディタリー 継承』の監督であるアリ・アスターの最新映画。ヘレディタリーは個人的にはあまりハマる事はできませんでしたが、ミッドサマーの予告を見て心の映画アンテナがビビッと反応したので見てみました。

結論から言うと、グロめのアートなどが好きな方には一押しです!

www.phantom-film.com

 

『ミッドサマー』のあらすじ

家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

©2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

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『ミッドサマー』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

美しい世界で繰り広げられる奇祭

久しぶりに見た、とても賛否両論分かれそうな映画でした。私個人としてはかなり好物ですが、全く刺さらない人や見るに値しないと感じる人も多いかも知れません。

 

というのも、この映画は特に何かを伝えたいとか感じてほしいというメッセージ性がある映画ではなく、ただ、精神的な病や悲恋で苦しむ少女がカルトを通じて悲しみから開放されるというだけのお話だからです。

 

その心の裏側にはしっかりとした理由や理屈は存在していますが、押し付けるような演出は全くなく、むしろ美しい映像美で飾って、人間の汚さや弱さを隠しているようでさえありました。

 

カルトの恐ろしさ

ダニーは狂気に堕ちた者だけが味わえる喜びに屈した。ダニーは自己を完全に失い、ついに自由を得た。それは恐ろしいことでもあり、美しいことでもある

 監督が脚本に書き付けた一文です。

 

作中には役目を終えた老人が崖から飛び降りたり、生贄だと言って生きたままの人を燃やすシーンなども出てきます。

それらを経て、主人公であるダニーは自身の悲しみを開放してホルガの村の一員となるわけですが、ラストで恋人を燃やして微笑むシーンなどはホラー映画の中でも珍しい心理的な怖さがありました。

 

ヘレディタリーの時も一風変わったホラー感がありましたが、それを更に突き詰めた結果生まれた作品のように感じます。

欲を言えば、もう少しグロの部分を多めにして狂気のインパクトを強めてくれると、アート作品感が強まって良かったかもとも思います。

 

音楽に関しては、かなりストリングスを多様していたのですが、打楽器やノイズっぽい音をもっと使ってくれるとまた違ったマイノリティ感が生まれて良さそうにも思えました。


Mum - Sing Along

この方々の作る音とかピッタリ合いそうです。(このPVもちょっとミッドサマーっぽいですね笑)

 

 

ホラーを期待すると失敗すると思いますが、冒頭にも書いたようにグロめのアートが好きな方やちょっと変わった映画が好きな方は、きっとお好きだと思います。ロブスターとかが好きな方も楽しめそうです。

映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』見ました。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編

『リリィシュシュのすべて』や『PiCNiC』の岩井俊二脚本・監督による2016年の映画。岩井俊二さんの作品は若い頃にドハマリしたもののしばらく見ていなかったのですが、久しぶりにがっつり邦画が見たくなったので視聴してみました。

rvw-bride.com

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』のあらすじ

非常勤の学校の先生として働く皆川七海は、出会系サイトで鶴岡鉄也という男性と出会う。
そして何の波も立たずに自然な流れで結婚までたどり着いた七海だったが、披露宴を開くにあたって新婦側との親類の数の差から、SNSの知り合いでなんでも屋の安室に相談に乗ってもらう事に。
安室は代理で参列する参加者を募って披露宴は無事事なきを得たかに思われた。
しかし、後日新婚早々にして夫の浮気疑惑が浮上する。浮気相手の夫だという男が家に訪ねてきたり、夫の母親からは七海が浮気しているのだと言われ、夫との話し合いも拗れてしまい家を追い出されてしまった。

行き場を失くし途方に暮れた七海は、唯一頼れる安室にメッセージをするのだった。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

点数 80点

いつもは星ですが大好きな監督さんのため点数表記です。完全に主観的な評価ですのでご参考程度に。ちなみに『PiCNiC』を90点とした時の点数です。

高級絵の具を溜めたパレットのような映画

まず一番最初に驚いたのが、映画の時間でした。

なんと3時間!

邦画は展開がゆっくりなイメージで3時間も見れる自信がなかったので、「これは自分には見れないかも」と思っていたのですが、全くそんな事はありませんでした。好みもあるとは思いますが、これはこれでありだと見終えた今は思います。

 

とにかく人の心を裏表隠す事なく綺麗に描く素敵が多い岩井俊二作品ですが、この『リップヴァンウィンクルの花嫁』もベースは同様だと思います。

ただ、他作品に比べるとボリュームがある事もあって、使われている絵の具の色が多いというか色々な色を綺麗に並べて魅せてくれている映画だと感じました。主人公である皆川七海だけはその粘度が緩く、傾けられたパレットの上を滑り転がる様を綺麗に描いた映画のような感じです。

 

キャストも豪華で、主演に黒木華、共演で綾野剛Coccoなども出演されていました。特にCoccoさんは、演技を始めてみたのですが非常に上手、というかどこまでが台本なのか分からないくらい自然な演技をされていて、是枝作品を見てるような気分にさえなりました。岩井作品にしてはキャラクターが既に確率しすぎていて途中CoccoさんのMVのような雰囲気を感じた場面もありましたが、Coccoさんが演じられていなかったら3時間持たなかったと思えますし、彼女にしか創れない役を上手に演じられていたと思います。

綾野剛さんもとてもキャラクターにあった上手な演技をされていたと思います。ただ、できればこの役は窪塚洋介さんなどにやって欲しかったかもしれません。不可思議で掴みどころがない役どころですが、それでいてラストはメッセージ性の強い重要なシーンを担当されていたため、もう少しインパクトが強い俳優さんでも良かったような気がします。

 

今だからこそ、岩井俊二さんだからこそのストーリー

白い帽子のようなものを被っているCMが印象的ですが、あれはどうやらネットのアイコンを模したもののようです。

この作品は、そんな現代の手軽さを皮肉を込めて綺麗に紡いだお話のように感じました。

(以下がっつりネタバレします。)

 

 

 

披露宴に代理出席者を読んだ七海が今度は自分が代理で出席する側に回っていたり。

そこで知り合った真白と親しい中になって一緒に住む事になったり。

そして、実はそれらは全てクライアントからの依頼を受けた安室によって予定されたものだったり。

ネットの手軽さを現代社会や今の日本の人間関係や個性の欠落などと絡めて、面白おかしく表現した作品だったように思います。

特にラストシーンの真白の母と安室が素っ裸で真白の遺影に向かうシーンなどは、オーバー過ぎるくらいの演出でとても岩井さんらしかったです。

 

最後のシーンは、色々な解釈ができるようですが、こちらのサイト様が非常に丁寧にわかりやすく解説していて参考になりました。私もこのサイト様と同様で、素っ裸になったのも皮肉の一つでしかなく、七海だけが所謂一般的な感覚を持っていたのではないかと思います。

 

ともあれ、久しぶりの岩井作品で非常に満腹感たっぷりな幸せな気持ちになれました。岩井さんの作品は、わざとなのかもしれませんが、良い意味で話に荒削りさが残っていて作品らしい作品という印象のものが多い気がします。大量生産された洋食器ではなく陶芸で一つ一つ手作りしたような感じの映画が多いので、もしまだ見た事がない方は一度どれでも良いので見てみて下さい。見やすい内容ではないとは思いますが、ハマる人はドハマリしてしまう魅力的なものが多いのでおすすめです。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。見放題で見れて月額も500円なのでおすすめです。それ以外でもU-NEXTは見放題で、他にもTSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいです。トライアルでポイントを使えば無料で視聴も可能です。

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リップヴァンウィンクルの花嫁【劇場版】

リップヴァンウィンクルの花嫁【劇場版】

  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: Prime Video
 

 

 

映画『ブルー・マインド|Blue My Mind』見ました。

美少女が金魚を口に!? 『ブルー・マインド』 予告 【HD】カミング・オブ・エイジ・ホラー!

2017年のスイス映画で、ホラー(?)ながらスイスのアカデミー賞に7部門もノミネートし、作品賞、主演女優賞、脚本賞の3部門を受賞した人気作品。
PVを見る感じ思春期の青春ホラーっぽい雰囲気で、最近お化け系ホラーばかり見てた事もあって、たまにはこういうのもいいかなと興味本位で見てみたのですが、ものすごく大当たりでした!

 

ブルー・マインド|Blue My Mind』のあらすじ

両親の仕事の都合で新しい街へ引っ越してきた15歳のミア。大人の女性へと変わっていく思春期ならではの葛藤や親への苛立ちなどから、新しいクラスの中でも目立っていた不良グループのジアンナ達と一緒につるむようになっていく。現実から目をそむけるように、酒を飲み、万引きをし、男遊びをする中で同じように感じる仲間と一緒に時間を忘れ楽しんでいたミアだが、徐々に自身の体の変化に違和感を覚えるようになっていく。それは大人へ成長していくのとは違う、受け入れがたいものであった…。

 

ブルー・マインド|Blue My Mind』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★★

もっと評価されるべき名作!

特にそこまで期待して見たわけではなかったのでハードルが低かった事もあるかもしれませんが、この映画はもっと世界的に評価されても良い素晴らしい名作だと思いました。

展開が遅めではありますが、起承転結それぞれにしっかりとしたエピソードがあり、それら全てがストーリーの主軸にしっかりと結びついているので最後まで飽きる事なく見る事ができます。

洋画にしては珍しいくらいの美しいお話、というか題材自体が邦画向きできっとこれ系のテーマの演出は日本の監督さんの方が得意なのではという気がします。

(以下がっつりネタバレします。)

 

 

 

 

主人公のミアを含むティーンエージャーならではの思春期の鬱憤+ミアは人魚だったというファンタジー要素を大いに含んだ人ではない不安や葛藤が題材の映画。

見ながら、この映画は是非岩井俊二さんにリメイクで作って欲しい!と思ってしまいました。リリィシュシュのすべてやUNDOなどを作った岩井俊二監督なら、絶対に得意分野だと思うのです。

逆にこの映画に岩井俊二さんの映画のような、キラキラとした幻想的な雰囲気の演出やアート感が加わったら死ぬ時一緒にDVDを棺に入れて欲しいくらい大好きな作品にも成り得たかもしれません。

 

映画の評価サイトでは3/5点ほどが多いようですが、3点が多いというよりは1点をつける人と5点をつける人が多いようで好き嫌いが分かれる映画のようです。

個人的には点数で言えば85点程かなと思うので私は5/5点ですが、洋画に多いアップテンポな話が好きだったり悲しいお話が苦手だったりすると楽しめないかもしれません。

反対に岩井さん作品が好きな方や悲しいお話が好きな方は、まず間違いなくおすすめな名作だと思います。

 

  

ブルー・マインド|Blue My Mind』が見れるVOD

Amazon Primeで見られるのでPrime会員の方はAmazonでOKです。他にもU-NEXTやdTVでも視聴が可能のようです。トライアル中なら無料で見ることができるんでおすすめです!

U-NEXTdTV

ブルー・マインド(字幕版)

ブルー・マインド(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Prime Video