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映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』見ました。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編

『リリィシュシュのすべて』や『PiCNiC』の岩井俊二脚本・監督による2016年の映画。岩井俊二さんの作品は若い頃にドハマリしたもののしばらく見ていなかったのですが、久しぶりにがっつり邦画が見たくなったので視聴してみました。

rvw-bride.com

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』のあらすじ

非常勤の学校の先生として働く皆川七海は、出会系サイトで鶴岡鉄也という男性と出会う。
そして何の波も立たずに自然な流れで結婚までたどり着いた七海だったが、披露宴を開くにあたって新婦側との親類の数の差から、SNSの知り合いでなんでも屋の安室に相談に乗ってもらう事に。
安室は代理で参列する参加者を募って披露宴は無事事なきを得たかに思われた。
しかし、後日新婚早々にして夫の浮気疑惑が浮上する。浮気相手の夫だという男が家に訪ねてきたり、夫の母親からは七海が浮気しているのだと言われ、夫との話し合いも拗れてしまい家を追い出されてしまった。

行き場を失くし途方に暮れた七海は、唯一頼れる安室にメッセージをするのだった。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

点数 80点

いつもは星ですが大好きな監督さんのため点数表記です。完全に主観的な評価ですのでご参考程度に。ちなみに『PiCNiC』を90点とした時の点数です。

高級絵の具を溜めたパレットのような映画

まず一番最初に驚いたのが、映画の時間でした。

なんと3時間!

邦画は展開がゆっくりなイメージで3時間も見れる自信がなかったので、「これは自分には見れないかも」と思っていたのですが、全くそんな事はありませんでした。好みもあるとは思いますが、これはこれでありだと見終えた今は思います。

 

とにかく人の心を裏表隠す事なく綺麗に描く素敵が多い岩井俊二作品ですが、この『リップヴァンウィンクルの花嫁』もベースは同様だと思います。

ただ、他作品に比べるとボリュームがある事もあって、使われている絵の具の色が多いというか色々な色を綺麗に並べて魅せてくれている映画だと感じました。主人公である皆川七海だけはその粘度が緩く、傾けられたパレットの上を滑り転がる様を綺麗に描いた映画のような感じです。

 

キャストも豪華で、主演に黒木華、共演で綾野剛Coccoなども出演されていました。特にCoccoさんは、演技を始めてみたのですが非常に上手、というかどこまでが台本なのか分からないくらい自然な演技をされていて、是枝作品を見てるような気分にさえなりました。岩井作品にしてはキャラクターが既に確率しすぎていて途中CoccoさんのMVのような雰囲気を感じた場面もありましたが、Coccoさんが演じられていなかったら3時間持たなかったと思えますし、彼女にしか創れない役を上手に演じられていたと思います。

綾野剛さんもとてもキャラクターにあった上手な演技をされていたと思います。ただ、できればこの役は窪塚洋介さんなどにやって欲しかったかもしれません。不可思議で掴みどころがない役どころですが、それでいてラストはメッセージ性の強い重要なシーンを担当されていたため、もう少しインパクトが強い俳優さんでも良かったような気がします。

 

今だからこそ、岩井俊二さんだからこそのストーリー

白い帽子のようなものを被っているCMが印象的ですが、あれはどうやらネットのアイコンを模したもののようです。

この作品は、そんな現代の手軽さを皮肉を込めて綺麗に紡いだお話のように感じました。

(以下がっつりネタバレします。)

 

 

 

披露宴に代理出席者を読んだ七海が今度は自分が代理で出席する側に回っていたり。

そこで知り合った真白と親しい中になって一緒に住む事になったり。

そして、実はそれらは全てクライアントからの依頼を受けた安室によって予定されたものだったり。

ネットの手軽さを現代社会や今の日本の人間関係や個性の欠落などと絡めて、面白おかしく表現した作品だったように思います。

特にラストシーンの真白の母と安室が素っ裸で真白の遺影に向かうシーンなどは、オーバー過ぎるくらいの演出でとても岩井さんらしかったです。

 

最後のシーンは、色々な解釈ができるようですが、こちらのサイト様が非常に丁寧にわかりやすく解説していて参考になりました。私もこのサイト様と同様で、素っ裸になったのも皮肉の一つでしかなく、七海だけが所謂一般的な感覚を持っていたのではないかと思います。

 

ともあれ、久しぶりの岩井作品で非常に満腹感たっぷりな幸せな気持ちになれました。岩井さんの作品は、わざとなのかもしれませんが、良い意味で話に荒削りさが残っていて作品らしい作品という印象のものが多い気がします。大量生産された洋食器ではなく陶芸で一つ一つ手作りしたような感じの映画が多いので、もしまだ見た事がない方は一度どれでも良いので見てみて下さい。見やすい内容ではないとは思いますが、ハマる人はドハマリしてしまう魅力的なものが多いのでおすすめです。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』が見れるVOD

私はAmazon Primeで見ました。見放題で見れて月額も500円なのでおすすめです。それ以外でもU-NEXTは見放題で、他にもTSUTAYA TVauビデオパスなどでも見れるみたいです。トライアルでポイントを使えば無料で視聴も可能です。

U-NEXTTTVビデオパス

リップヴァンウィンクルの花嫁【劇場版】

リップヴァンウィンクルの花嫁【劇場版】

  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: Prime Video