暇乞い | itoma-goi *

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映画『聖なる鹿殺しキリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』見ました。

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『ロブスター』が個人的に大ヒットだったヨルゴス・ランティモス監督の2017年作品。

籠の中の乙女』も良かったのでハードルガン上げで視聴してみました。

www.finefilms.co.jp

 

『聖なる鹿殺しキリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじ

心臓外科医スティーブンは、美しい妻と健康な二人の子供に恵まれ郊外の豪邸に暮らしていた。スティーブンには、もう一人、時どき会っている少年マーティンがいた。マーティンの父はすでに亡くなっており、スティーブンは彼に腕時計をプレゼントしたりと何かと気にかけてやっていた。しかし、マーティンを家に招き入れ家族に紹介したときから、奇妙なことが起こり始める。子供たちは突然歩けなくなり、這って移動するようになる。家族に一体何が起こったのか?そしてスティーブンはついに容赦ない究極の選択を迫られる・・・。

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 ©2017 EP Sacred Deer Limited, Channel For Television Corporation, New Sparta Films Limited

 

『聖なる鹿殺しキリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の感想

※感想はネタバレを含んでいる事がありますので、未視聴の方はご注意ください。

星 ★★★★☆

さすがヨルゴスさん…。

ある意味期待通りで、また別の意味で期待に外れ、良くも悪くも普通の映画じゃありませんでした(笑)

(笑)なんて真面目な感想にはつけないんでしょうけど、それでも(笑)と表したくなるくらいひねくれた世界の小規模な話。ストーリーはまるで絵本のようにコンパクトにまとまっていて、見方によっては薄っぺらい陳腐な作品にもなり得たかもしれません。

 

しかし、作品の頭から最後まで終始漂う不気味さがそれを全く感じさせず、その結果、いったい何の映画だったんだという消化しきれない宙ぶらりんな気持ちで終焉を迎えるに至ってしまいました。

 

結論を言えば、見たい人は見てほしいですが、はまらないとクソが付くくらいつまらないかもしれません。ハマる方でも不敵に微笑むくらいで、最高傑作などではないように思えます。

 

しかししかし、またそれが良い

 

と思わせてしまう世界を作れるのがこの監督さんのすごいところ。

籠の中の乙女』や『ロブスター』以上に、シンプルな世界で不気味さ目立っていました。

 

『アウリスのイピゲネイア』

この映画のストーリーを簡単に説明すると、医師が手術でミスをして患者をなくしてしまって、その償いとして医師の家族を一人殺さなければいけないというものです。

 

マーティンが何者なのかや、なぜ絶対に家族を一人殺さなければいけないのかなどが全く解説されないまま進んでいくのでちんぷんかんぷんになりがちですが、実はこれは『アウリスのイピゲネイア』というギリシャ神話が元になっているようです。


トロイア戦争に向かう将軍アガメムノンの船団は、風が吹かず港に釘付けになっていました。この状態の原因を、預言者は女神アルテミスの怒りのせいだと告げます。

 

実はアガメムノンは、狩猟でアルテミスの聖なる鹿を殺していたのです。

女神の怒りを鎮めるために、アガメムノンの娘イピゲネイアを生贄として捧げなくてはならなくなりました。

 

アガメムノンは英雄アキレスと結婚させると嘘をついて、故郷からイピゲネイアを呼び寄せます。娘が生贄にされることに気づいた母クリュタイメストラは怒りますが、イピゲネイアはそれでギリシャが救われるならと、自らすすんで生贄になることを決意します。

 

最後は鹿と入れ替わって助かったなど諸説あるようですが、この神話を元に作られている事を知らずにみると、なんじゃこの映画は的な感想になってしまうかもしれません。

 

個人的な評価としては『ロブスター』がぶっちぎりで、次いで『籠の中の乙女』と『聖なる鹿殺し』が並ぶ感じです。他にも『女王陛下のお気に入り』という映画もあるようなので、また見てみようと思います。

 

『聖なる鹿殺しキリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』が見れるVOD

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